路上で考える氷河期世代 #3:ネットで解けた洗脳・新たな扇動——SNS相互増幅の罠

SNS相互増幅の罠—スマホの画面から炎の吹き出しや拡散アイコンが広がるイメージ。画面越しのコメントと通知バッジ。

この連載の趣旨: 占領期〜冷戦期にアメリカが日本に敷いた世論設計(PSB計画・USIS・CIAの協力線)を、 公開公文書で跡づけて解剖する「何がしたいんだ?」シリーズ。怒りや陰謀ではなく、 一次資料に基づいて「骨抜きの構造」と現在への尾を検証する。

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米側の目的(反共・親米固定・基地同意など)/手段(人物・資金・機材・番組・イベント)/ 証拠(文書名・日付・該当箇所)を明示し、事実/解釈/体験を切り分けて提示。 毎回の末尾には共通の「戦後→令和 年表」を常設する。

路上で考える氷河期世代 #3:ネットで解けた洗脳・新たな扇動——SNS相互増幅の罠

結論一行:テレビの一極支配は崩れたが、SNSの相互増幅で「速さ・怒り・映え」が支配する新しい扇動が生まれた。

1. なぜ今、この話を掘るのか

情報の自由度が上がるほど、善悪どちらの増幅も起きる。氷河期世代はアナログとデジタルの両方を経験した希少層として、増幅の仕組みを言語化し、現場の作法に落とし直す価値がある。

2. 事実の骨格(2010s→2020s)

  1. アルゴリズム最適化:滞在時間・反応率に最適化された推薦が、怒り・驚き・侮蔑など高覚醒感情を優先表示しやすい。
  2. 相互増幅:SNSのトレンド→テレビ特集→切り抜き動画→再トレンドという往復加速が常態化。
  3. アストロターフ:実在と見せかけた草の根風キャンペーン(偽装の「自発性」)。
  4. 訂正の非対称性:訂正は元投稿より届きにくい。初動の演出が勝つ。

3. 仕組み(罠の分解)

  • 感情トリガー→共有反射:怒り・不安→即共有。思考の前に手が動く。
  • エコーチェンバー:同質の意見のみが強化され、反証が届かない。
  • 可視性の錯覚:「よく見る=多数派」と誤認する認知バイアス
  • 切り抜きの文脈消失:10秒の断片が全体を代表してしまう。

4. 路上の作法(今日からの運用)

  1. 三点測量:官公庁・反対紙面・一次統計の最低3ソースを揃える。
  2. “表示”の確認:広告・PR・タイアップ・提携表記の有無を必ず見る。
  3. 定義メモ:グラフは軸・母数・期間・定義を手書きでメモしてから評価。
  4. 遅延シェア:最低3分置く。怒り投稿は原則その場で共有しない。
  5. 反対側を敢えて1本読む:賛否2系統を常にペアで保存。
  6. スクショの責任:名前・住所・顔は基本モザイク。未成年は晒さない。

5. 典型パターン(ミニケース)

Seed(種)→炎上→テレビ特集→切り抜き→二次炎上。初動の演出が勝つ構造では、反証は届きにくい。対抗手段は「初動で共有しない」「一次資料へ飛ぶ導線を貼る」「反対側1本を必ず同梱」の3つ。

編集後記

自由は拡がったが、作法を持たない自由は扇動に弱い。氷河期世代の両利きは武器になる。次回は、広告と記事の境界を実務で仕切る。

📜 戦後→令和 年表(道徳×メディア×インフラ要約)

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占領期(1945–1952)

  • 1945GHQ指令(SCAPIN-519)で〈修身・日本史・地理〉の授業停止。
  • 1948:国会が〈教育勅語等の失効確認〉を決議。
  • 1950:〈放送法〉施行—テレビ時代の制度土台。

テレビ寡占の起動(1953–1960)

  • 1953NHKテレビ本放送/日本テレビ開始。
  • 1955–56:〈Atoms for Peace〉等、原子力PR・展示で世論形成。
  • 1958:学習指導要領改訂で〈道徳の時間〉(週1)新設。

高度成長と“テレビ基準”(1960s–1970s)

  • 家電普及+編成権+広告でアジェンダ設定力が最大化。

多様化の前夜(1980s–1990s前半)

  • BS/CSとワイドショー化で生活時間を占拠(まだ一方向)。

モバイル・掲示板の衝撃(1999–2008)

SNSの相互増幅期(2010s)

  • 2011東日本大震災—テレビとSNSが相互補完・増幅の常態に。
  • 2018/19:「特別の教科 道徳」(小2018/中2019)へ格上げ。

令和—アルゴリズム主戦場(2020s)

※本年表はシリーズ共通の“芯”。必要に応じて本文側で一次資料リンクを追補してください。