
闇の手前で生きる #04
名義貸し・口座凍結:巻き込まれを断つ
まず結論:名義貸しは犯罪の入口(やってはいけない反応)
- 口座/名義の貸与・売買・譲渡はNG(「一時的に預かるだけ」も同義)。
- キャッシュカード・通帳・暗証番号の共有はアウト。写真を撮って送るのも同じ。
- “投資回収のため一時的に”などの言い訳に応じない。資金洗浄(マネロン)に巻き込まれる。
- 凍結連絡を放置しない。無視=不審の強化。正しい初動で「関与なし」を示す。
名義貸しは、詐欺・違法勧誘・無登録業者の“末端”として使われることが多い。疑いをかけられた側がやるのは感情的な否定ではなく、時系列+証拠の提示です。
募集の赤旗リスト(実例フレーズ集)
| フレーズ(SNS/DM/求人) | 赤旗ポイント | 正解アクション |
|---|---|---|
| 「空いてる口座を貸してくれたら◯万円」 | 口座貸与の直球。報酬提示で違法性が濃厚。 | 即ブロック+スクショ保存。金融機関/警察に通報へ。 |
| 「振込確認だけお願い、すぐ返す」 | 名義利用のカモフラージュ。資金洗浄に利用。 | 通報。家族・同僚にも共有し“噂拡散”を先回り。 |
| 「金融の実務スキルが学べる在宅案件」 | 無登録業者の人集め。口座開設→売却ルートへ。 | 企業名・登録の有無を検索。関与しない。 |
| 「本人確認書類の写真だけ送って」 | 身分証の悪用誘引。口座開設やSIM詐欺に転用。 | 送らない。既に送った場合は身分証再発行も検討。 |
※ 誘い文句は常に変化します。要点は「名義と口座を他者に使わせない」の一点。
凍結の流れ:疑い→停止→照会→解除/解約(タイムライン)
- 疑い発生:不審送金・大量入出金・被害届照合等。
- 取引停止/一部制限:ATM・オンラインの制限、口座入金停止など。
- 照会:利用実態・送金理由・入金元の関係性を確認。
- 判断:解除 or 解約・継続停止(他行・警察・行政との連携あり)。
ここで重要なのは、照会段階での説明と証拠。時系列/相手の素性/金の出入りの目的と根拠を一枚の紙に整理して提示すると、会話の速度が上がります。
初動テンプレ:金融機関/警察/行政への伝え方
金融機関への回答(来店/電話)
【要件】口座の利用制限に関する照会。
【氏名/連絡先】____/____
【時系列】__月__日__時:__(例:給与受取/フリマ売上)。
【入金元の関係】(例)勤務先/家族/フリマ販路(取引画面のスクショ有)。
【目的】生活費/事業費/売買代金(根拠書類:__)。
【疑義の可能性】心当たりなし。必要なら追加で資料提出可。
【要望】解除の判断目安と、必要な書類をご教示ください。
【氏名/連絡先】____/____
【時系列】__月__日__時:__(例:給与受取/フリマ売上)。
【入金元の関係】(例)勤務先/家族/フリマ販路(取引画面のスクショ有)。
【目的】生活費/事業費/売買代金(根拠書類:__)。
【疑義の可能性】心当たりなし。必要なら追加で資料提出可。
【要望】解除の判断目安と、必要な書類をご教示ください。
警察・行政へ(相談/通報)
【件名】名義貸しの勧誘/不審送金に関する相談
【状況】SNSで「口座を貸して」の勧誘。スクショ有。
【被害/関与】送金・貸与等は行っていない/行ってしまった(詳細添付)。
【相手情報】ユーザー名/電話/口座番号 等。
【要望】今後の対応、通報/被害届の要否、参考窓口の案内。
【状況】SNSで「口座を貸して」の勧誘。スクショ有。
【被害/関与】送金・貸与等は行っていない/行ってしまった(詳細添付)。
【相手情報】ユーザー名/電話/口座番号 等。
【要望】今後の対応、通報/被害届の要否、参考窓口の案内。
提出物は「身分証/通帳写し(見せる範囲は相談)/取引画面スクショ/契約書(あれば)」を基本に。
解除の現実:分岐表(関与×資金流入×協力度)
| 状況 | 解除の見込み | 必要アクション | 備考 |
|---|---|---|---|
| 関与なし+通常の入出金のみ | 比較的あり | 時系列と根拠書類の提出、照会への迅速回答 | 解除後もしばらくはモニタされる前提 |
| 関与なしだが不審入金が複数 | 事案次第 | 不審者情報の提出、被害届等の有無整理 | 返金処理や関係機関連携が生じることあり |
| 関与あり(貸与/譲渡) | 低い | 即時の関与停止、事情聴取への協力、解約・再発防止 | 民刑両面のリスク。弁護士相談を最優先 |
| 無登録業者の資金回収に関与 | 低い | 取引停止、証拠保全、行政・警察への申告 | 二次被害防止のため周囲への注意喚起も |
ポイント:「解除」をゴールにしつつ、解約・新規口座の見直しまで視野に。信用情報や行内フラグは説明責任の履行で時間をかけて回復させる。
被害救済と相談先:行政・弁護士・警察の役割
行政(金融庁/財務局等)
- 無登録業者の情報収集・注意喚起
- 被害相談の一次窓口案内
- 事業者への行政対応(注意・処分)の公表
警察
- 詐欺・名義貸しの相談/通報
- 被害届の受理・捜査
- 凍結に関わる関係機関連携(事案次第)
弁護士/専門家
- 関与の有無の法的評価とリスク説明
- 金融機関・相手方・行政への書面作成
- 返金・示談・解約等の交渉
※ 相談前に、スクショ/通話記録/振込明細/募集文を一か所に集約しておくと処理が速い。
予防セット:断り文句・社内/家族周知・保全
断りテンプレ
「口座や名義の貸与は違法の可能性が高く、犯罪に巻き込まれるためお断りします。以後の連絡は控えてください。」
- 既読スルーではなく、明確に断る文言を残してブロック。
- スクショは原寸で保存(URL/時刻が見える形)。
保存用:初動ショートカット
照会対応 時系列+証拠で回答 → 通報 勧誘はスクショ保存 → 保全 通帳・身分証・端末ログを一か所へ。
🧩本日のミニクイズ
SNSで「口座を一時的に貸して。5万円払う」と言われた。正解に最も近いのは?
- 条件を確認し、身分証だけ先に送る
- 断り文句を残し、スクショ保存→通報
- まずは口座に振り込ませ、事情を聞く
解答を見る
B。名義貸しは犯罪の入口。証拠を残して距離を取り、通報・相談へ。
編集後記
「ちょっと貸すだけ」が人生を壊します。名義・口座・身分証は、信用の“根っこ”。疑いをかけられたときの最短コースは、否定ではなく説明責任の即時履行です。本稿のテンプレと分岐表が、巻き込まれた直後の“迷いの削減”に役立てば幸いです。次回は「特定屋・晒し・OSINT対策」を予定。