
路上で考える氷河期世代 #5:広告と記事を見分ける——PR/提供/タイアップ完全ガイド
結論一行:表示・根拠・比較の3点を見るだけで、広告と記事の境界はふつうに仕切れる。
この連載の趣旨: 占領期〜冷戦期にアメリカが日本に敷いた世論設計(PSB計画・USIS・CIAの協力線)を、 公開公文書で跡づけて解剖する「何がしたいんだ?」シリーズ。怒りや陰謀ではなく、 一次資料に基づいて「骨抜きの構造」と現在への尾を検証する。
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米側の目的/手段/証拠を明示し、事実・解釈・体験を切り分けて提示。毎回の末尾には共通の「戦後→令和 年表」を常設する。
1. なぜ今、この境界を掘るのか
テレビの寡占が弱まり、SNSが強くなっても、広告は形を変えて並走する。境界が曖昧になるほど、判断コストは上がる。だからこそ、誰でも運用できる最小の作法を配る。
2. 30秒チートシート(まず表示)
- 新聞・雑誌:広告/PR/企画広告/タイアップ/有料別刷り(インサート)等の明記を探す。
- テレビ・ラジオ:提供・協賛・制作協力・広報番組の表示と、クレジットの読み。
- Web・SNS:PR/宣伝/広告/Sponsored/タイアップ/#広告 の表示、投稿者の利益相反。
※表示があっても、内容の正しさは別問題。次の「根拠」と「比較」で仕切る。
3. コア三原則:表示・根拠・比較
- 表示:PR/提供/広告の明示はあるか。媒体の表示基準に沿っているか。
- 根拠:一次資料(法令・統計・審議会PDF・原論文)へのリンクがあるか。
- 比較:賛否や代替案が同じ条件(期間・母数・定義)で示されているか。
4. よくある表示パターン(媒体別)
5. 判定フローチャート(テキスト版)
【Step1 表示】PR/提供/広告の明示 → Yes? → 内容へ/No? → 注意深く根拠へ
【Step2 根拠】一次資料リンクあり? → Yes? → 次へ/No? → 評価を留保
【Step3 比較】同条件の反対データあり? → Yes? → 判断/No? → 仮説止まり
【Step4 利害】出演者・発信者の利害開示あり? → Noなら警戒度↑
6. グレーゾーンと対処
- “体験談”の装い:企業案件の自己申告なし → 表示を求め、一次資料で裏を取る。
- ランキング・おすすめ:選定基準が曖昧 → 基準・母数・広告関与の有無を確認。
- 専門家コメント:所属と利益相反が不明 → プロフィールと関係性の開示を求める。
7. 今日から使うチェックリスト(コピー可)
- PR/提供表示が見える位置にある
- 法令・統計・原論文など一次資料のURLが1本以上
- 賛否2系統のデータを同条件で比較
- 出演者・執筆者の利害関係を開示
- 感情演出(恐怖・嘲笑・感動)が“事実”より前に出ていない
- 未成年/個人情報の配慮がある
編集後記
広告が悪いのではない。境界が曖昧だと、判断が奪われる。表示・根拠・比較の三原則を習慣にして、次回は「一次資料5分術」に進む。
📜 戦後→令和 年表(道徳×メディア×インフラ要約)
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占領期(1945–1952)
テレビ寡占の起動(1953–1960)
- 1953:NHKテレビ本放送/日本テレビ開始。
- 1955–56:〈Atoms for Peace〉等、原子力PR・展示で世論形成。
- 1958:学習指導要領改訂で〈道徳の時間〉(週1)新設。
高度成長と“テレビ基準”(1960s–1970s)
- 家電普及+編成権+広告でアジェンダ設定力が最大化。
多様化の前夜(1980s–1990s前半)
- BS/CSとワイドショー化で生活時間を占拠(まだ一方向)。
※本年表はシリーズ共通の“芯”。必要に応じて本文側で一次資料リンクを追補してください。