配達員の道標【新基準原付法シリーズ】
#21|型式・表示義務:最高出力の表示、資料の見方(型式届出/諸元票)

新基準原付の実務は「最高出力4.0kW以下をどう担保するか」で決まる。表示・書類・現物を同時に見る習慣を入れる。
0) 結論サマリ
- 新基準原付は最高出力4.0kW以下の表示・書類・実体が揃ってはじめて“原付一種扱い”が固まる。
- 量販の型式認定車は従来どおりだが、型式外(中古・並行・個別改造)は「確認機関で測定→表示」という別ルートが要る。
- 購入時は3点突合(ステッカー/諸元票/販売書類)を必須化。欠落・不一致品は買わない/受け取らない。
1) 枠組み:型式認定車と“型式外”でルートが違う
型式認定車…メーカーが量産前に適合性を示す方式。最高出力は認定時の諸元に反映され、車体表示・カタログ・販売書類が揃う。
型式外…個別輸入・並行・中古・大幅改造など量産ライン外。確認機関による測定・審査を経て最高出力の表示を付すルートが用意される。
実務では「型式か/型式外か」を最初に判定し、以降の確認・書類要求の厳しさを切り替える。
2) 3点突合:ステッカー/諸元票/販売書類
- ステッカー(車体表示):規定位置・改変痕なし・耐候性良好。最高出力(kW)の数値をまず読む。
- 諸元票/カタログ:最高出力の数値がステッカーと完全一致しているか。
- 販売書類:型式番号、最高出力値、販売経路(型式認定か・確認機関経由か)が明記されているか。
この3点が一致しない個体は即見送りが安全。配達車は運用時間が長く、後からの是正は損失が大きい。
3) ステッカーの読み方と“怪しい”サイン
- 位置・向き:メーカー既定の貼付位置。剥離痕・再貼り痕・傾きがあれば要警戒。
- 素材・印字:国内仕様の耐候素材/印字品質か。不自然なフォント・微妙な滲みはコピー品の兆候。
- 数値の桁・単位:kW表示・小数点位置の揺れはないか(例:4,0kW/4kW表記など)。
- 連動部位:同一ロットの識別票(車台番号・型式ラベル)と整合するか。
4) 型式外(中古・並行・改造歴あり)の確認→表示ルート
型式外は“測る→証明→貼る”の順。
1) 事前整備:原状回復(改造痕の復帰/ECU設定の純正化)。
2) 測定:確認機関のガイドライン準拠で最高出力を測る(温度・気圧・送風・ローラー精度を満たす)。
3) 表示:結果に基づき車体へ表示。販売書類に測定経路を明記。
電動コンバージョンや吸排気交換の履歴がある個体は、測定と書類のセットがない限り手を出さない。
5) 表示欠落・不一致時の是正手順(購入前/購入後)
購入前
- 販売者に3点突合の資料を要求(ステッカー写真/諸元票/販売書類)。
- 欠落や不一致があれば、表示の再発行 or 確認機関ルートを完了してから契約。
購入後に発覚
- 走行を止める(区分不明=免許外運転の火種)。
- 販売者へ是正要求(測定→表示・書類差替え)。応じない場合の返金・契約解除条項を確認。
- 任意保険へ事実連絡(区分・表示の確認中である旨)。
6) 店頭&受領時のチェックリスト(現場貼り付け)
- [型式別]型式認定か/型式外かの判定を最初に。
- [表示値]最高出力≤4.0kWをステッカーで読み、諸元票・販売書類と突合。
- [貼付品質]剥離痕・改変痕・文字品質・位置ズレがないか。
- [中古/並行]確認機関の測定→表示の痕跡(書類・控え写真)があるか。
- [受領セット]ステッカー写真/諸元票コピー/販売書類/ドラレコ時刻同期を同日に済ませる。

7) FAQ:よくある場面別の短答
参考・根拠メモ(リンク差し込み口)
- 型式認定の概要/車両表示の位置・様式
- 確認機関:型式外の最高出力測定→表示の流れ
- 不正改造対策:表示改変・数値偽装の取扱い
注:告示・通達は更新が入る。公開時に最新リンクで差し替えること。