#19|交通規則の適用:最高速度30km/h・二段階右折・二人乗り不可は維持

配達員の道標【新基準原付法シリーズ】

#19|交通規則の適用:最高速度30km/h・二段階右折・二人乗り不可は維持

配達員の道標【新基準原付法シリーズ】 #19 交通規則サムネ

車両の箱が広がっても、道路上の“役割”は変わらない。原付一種の作法を、配達の現場に合わせて再インストールする。

0) 結論サマリ

  • 新基準原付でも原付一種の交通規則は据え置き。法定30km/h二段階右折二人乗り不可
  • 事故を避ける鍵は速度差を作らないこと。右折は「避ける・遅らせる・確実にやる」の三択で設計。
  • アプリ最短よりも左折積み木ルートが強い。混雑帯は“右折を1本減らす”だけで体感リスクが激減する。

1) コア規則:30km/h・二段階右折・二人乗り不可

原付一種の基礎は3本柱。(A)30km/h上限(B)二段階右折(C)二人乗り不可
新基準原付(125cc&4.0kW以下)でもこの枠は変わらない。つまり「エンジンやモーターが大きくなっても、走り方は変わらない」。配達で積み荷・時間帯・渋滞が絡むほど、この基本が効いてくる。

二段階右折の実写風イメージ:停止位置と進入角

二段階右折:原付停止線→横断→対向側の停止線で待機という3点思考。

2) 交差点テンプレ:右直回避・停止線と視界・一時停止の作法

右直回避の原則

  • 右折レーンへ斜めに滑り込まない。信号の変わり目では絶対にしない。
  • 右折が多い交差点は一つ手前の左折で回り込む(時間は伸びても安全が勝つ)。

停止線と視界

  • 原付停止線は横断帯手前の独立線。越えて停まると侵入角が鋭くなり、対向直進車に晒される。
  • 停止位置は「次に見る方向」を意識して取る。右を見るなら右が見通せる位置で停止。

一時停止の作法

  • 「完全停止→左右確認→徐行開始」。ローリングストップは事故の芽。
  • 見通しが悪いT字では二段階停止(手前停止→鼻先を出して再停止)で角度を浅く。

3) 追越し/追い越され:速度差を作らないプロトコル

追い越される側として

  • ミラーで後続の車間と意図を読む。詰められたら無理に加速しない
  • 路肩の安全退避ポイント(バスベイ・路肩の切れ目)を見つけたら合図→退避で一回やり過ごす。

追い越す側として

  • 対向・側方間隔を十分に。ドア開き危険ゾーン(1.0m目安)は踏まない。
  • 「直後→側方」の二重危険(追越し中に前車が左折開始)は避ける。左折指示器を見たら行かない。

市街地の30km/hイメージ:先行車と同調して速度差を抑える

速度差は“事故の種”。先行車と同調し、危ない車線に入らない。

4) レーン・路側帯・自転車レーンの誤解を潰す

  • 自転車レーンは走行しない。原付は車道を基本とし、路側帯も「走れる場合と走れない場合」がある。
  • バス専用・優先レーンは時間帯表示を読む。優先なら走れる場面があるが、挙動が読みにくいので避けるのが安全。
  • 路駐列は1台ごとにドア開放のリスク。横を行くなら視線を窓に入れる。

5) ルート設計術:左折積み木・右折の減らし方・時間帯別コツ

左折積み木の基本

  • 右折する代わりに「左→左→左」の三段で回り込む。
  • 一方通行・中央分離・河川・高架を地図の“壁”として先にマーク。
  • 混雑帯は右折1本減らすだけで疲労が段違い。

時間帯別の勘所

  • 朝夕は通学・帰宅の歩行者帯域を避ける。細路は歩行者優先の前提で速度を落とす。
  • 夜間は見通しの悪い交差点を“カット”して大通りに寄せる。照度が上がるルートが安全。

6) 夜間・雨天の切り替え判断(やらない勇気を含む)

  • 雨天は「視界・制動・水はね」の三重苦。殿の運用規範どおり、水たまり・冠水兆候があれば稼働しない
  • 夜間雨は横断者の視認が落ちる。信号待ちの横断歩道は歩行者の後ろに停止して光を遮らない。
  • 合羽の反射材とドラレコ保険。事故の“二次被害”を減らす。

7) 日次チェックリスト(現場貼り付け用)

  • [ルート]右折が多い経路になっていないか→左折積み木で引き直したか。
  • [交差点]停止線の位置・角度は適切か。見通し悪ければ二段階停止
  • [速度差]先行車と同調しているか。30km/h上限を越えない設計になっているか。
  • [追越し]ドア開きゾーンを踏んでいないか。左折指示の車を追わない。
  • [灯火/反射]前照灯・尾灯・反射材・ドラレコの状態は良好か。

8) FAQ:よくあるグレーと短答

Q. 二段階右折の例外は?
A. 標識で指示がある場合等に限る。迷ったら二段階を原則に。
Q. 自転車レーンを少しだけ走るのは?
A. 原付の走行帯ではない。路側帯や路肩を使うときも通行可否を確認。
Q. 右折帯が空いていれば入って良い?
A. 原付一種は二段階右折が基本。レーンに入っての右折は原則しない。
Q. 30km/hで流れに乗れず詰められる……
A. 無理に加速しない。安全な退避ポイントでいったん譲るが正解。

参考メモ

  • 原付一種のコア規則(速度・二段階右折・二人乗り)
  • 交差点の標識・停止線の読み方(自治体交通安全ページ)
  • 路側帯・自転車レーンの扱い(各地の道路管理者の解説)

注:地域標識や時間帯規制は差がある。実走前に現地表示を最優先で確認。

本記事は原付一種としての一般的な作法を整理したもの。最終判断はその場の標識・路面表示・警察官の指示に従うこと。安全第一。