配達員の道標【新基準原付法シリーズ】
#20|定義と技術要件:0.050L超〜0.125L以下&4.0kW以下(測定基準の読み方)

“何に乗れるか”を決めるのは免許だが、“その車両が何者か”は定義と表示で決まる。4.0kWの読み方を身体に入れる回。
0) 結論サマリ
- 新基準原付=「総排気量0.050L超〜0.125L以下」かつ「最高出力4.0kW以下」。どちらか一方でも外れたら原付一種ではない。
- 最高出力は所定の試験条件で確認し、車体に表示。型式外の車両も確認→表示ルートがある。
- 電動は定格出力(W)ではなく、最高出力(kW)で原付区分を判定(特定小型は別制度)。
1) 二本立て要件:排気量レンジ × 最高出力4.0kW
新基準原付は、排気量レンジと最高出力上限の両方を満たして初めて原付一種に入る。
例:125ccで4.2kW→原付一種ではない(小型二輪側の免許等が必要)。49ccで2.5kW→従来の50cc原付(原付一種)として並立。
2) 最高出力と定格出力は別物(混同注意)
最高出力(kW):ピーク能力。新基準原付の判定に使い、車体へ表示。
定格出力(W):連続出力。特定小型などの別制度で使用。
電動モペットで「定格0.6kW以下だから大丈夫」は誤り。原付区分は最高出力4.0kWで線を引く。
3) 測定ガイドラインの要点(実務で押さえる3点)
- 設備精度:ローラー・速度・荷重・温度・気圧など、厳密な管理下で測る。
- 送風条件:走行風を模擬。速度レンジに応じた送風基準が定められる。
- 校正・手順:事前整備と校正、測定要領の遵守。表示値=この条件下の結果であることを理解。
ユーザーは「試験結果が裏付ける表示4.0kW以下」を確認する立場。店頭・中古での目利きはここに尽きる。
4) 4.0kW境界で起きがちなNG例
- ECU書換・吸排気交換・リミッタ解除でピークが4.0kW超に→区分逸脱(免許外・保険揉め)。
- ステッカー欠落・改変や数値不一致→販売者/使用者/整備者の責任分界が問われる。
- 「実測は戻した」でも痕跡が残れば争点化。最初から触らないのが正解。
5) 店頭・中古・電動:迷わない確認フロー
- 表示ステッカーの有無と読取性(位置・改変痕)
- 諸元票/カタログの最高出力値とステッカーの一致
- 販売書類:型式認定か、型式外なら確認機関の測定→表示が済んでいるか
- 電動なら特定小型(定格)ではなく一般原付(最高出力)で判定しているか

6) 配達員チェックリスト(A4貼り付け用)
- [表示]ステッカーの有無/数値/改変痕を確認(4.0kW以下)。
- [書類]諸元票・販売書類の整合。型式外は確認機関ルートの痕跡。
- [改造歴]ECU・吸排気・リミッタ触っていないか。触る予定はないか。
- [電動]特定小型と混同していないか(定格と最高の違い)。
参考・根拠メモ(リンク差し込み口)
- 国土交通省:一般原動機付自転車(最高出力表示・不正改造対策)
- 警察庁/国家公安委:道路交通法・施行規則の改正概要(原付一種の枠)
- 確認機関:型式外車両の最高出力確認→表示の手順
- 特定小型の要件(定格0.6kW・20km/h以下)
注:告示・通達は改訂が入る。公開時に最新リンクで差し替えること。